【 本日開店!石井山岳書店 vol.1 】間瀬さん山岳書籍を語る

「本日開店!石井山岳書店」の記念すべき第一弾は、登山本店の間瀬(ませ)さんにご登場いただきましょう。間瀬さんは小さな頃から本の虫で山岳書にも造詣の深い方です。

今日は間瀬さんに、山岳書籍について大いに語ってもらいます。気になった本があれば、是非コアな品揃えの登山本店までお越しください!

※在籍店舗及び記事内容は投稿当時のもので現在は異なる場合があります。予めご了承ください。

はじめまして、間瀬です。入社して31年程になります。
当初は新大久保にあった登山本店に配属され、そのあと代々木に新宿南口店というのができてそこに9年間勤めました。
その後、登山本店に戻ってきて、神田登山店、また登山本店(神保町)に、という社歴です。

自宅にはたくさんの本がありますよ。書棚に入りきらない本が山岳書以外にもかなりあって、本の山ができています。
ボクの読書歴は小学校の2年生くらいからはじまります。
夏になるといつも山に行っていたから、山という存在は特別なものではなかったです。父が休みの時にはいつも連れられて行っていたので、ちっちゃいころから休みの日は、
そういうところに行くもんだと思っていました。
出身は、茅ヶ崎です。湘南ボーイです。茅ヶ崎だけど、海よりは山だったんですね。

|おすすめの山岳書籍

 

今回は初回ですので、あえてテーマを設けず、自由に間瀬さんの気になる書籍や是非お客様に手にとっていただきたいベスト5を選んでいただきました。

 

【黄色いテント】
田淵行男著 / ヤマケイ文庫

タイトルの黄色いテントは田淵さんがよく使っていたテントの色が黄色であったことに由来しているそうです。
実際、この本の特装本は田淵氏が使っていたテント生地を使っているそうです。

本を読んでいくと、やはり田淵さんの山に対する真摯な気持ちがよく伝わってきます。「二重山稜を越す蝶」の中では、大天井から常念岳への稜線で梓の谷を目指していくミヤマカラスアゲハのことを書いています。何度も風に追い返されてはその中に突進していく、圧倒的な自然に対するその蝶の姿に何か惹かれるものがあったのでしょう。

「山頂の石」では、戦前に山頂近くでその山に近い石を探して持ってきたことについて書かれています。実際に写真がありますが、こんな石が本当にあったのかと驚くような内容です。槍ヶ岳や常念岳、白馬岳など、こんな石を探すだけでも大変ですが、持ち帰るのはもっと大変。
【新編 単独行】
加藤文太郎著 / ヤマケイ文庫

加藤 文太郎さんは日本の登山家ですね。大正から昭和にかけて活躍した方で、複数の同行者がパーティーを作って登るのが常識とされる山岳界の常識を覆し、単独行によって数々の登攀記録を残した偉人です。その登山に対する精神と劇的な生涯が印象的で、新田次郎さんが書かれた『孤高の人』のモデルになったことでも有名です。

「孤高の人」を読んで、加藤文太郎という人をもっとよく知りたいと思い読む方も多いのではないでしょうか?このエピソードが小説のあのシーンになったのかと思える所もあれば、小説とは全然違う所もあって、読後に満足感がありますね。自分が登ったことのある山域が出てくると、本当に加藤文太郎も登ったんだとワクワクしながら読めますよ。
【東京周辺 お泊まりゆる登山 (ブルーガイド) 】
西野 淑子著

「そこの女子! お泊まりしたら、もっといい山ありますよ!!」というキャッチーなコピーがつく本書。
『東京近郊ゆる登山』の第3弾として、“お泊まり"という新たなテーマを加えた『ゆる登山』ガイドです。
お泊まり…といっても、山の中に泊まってハードな登山をしましょうというわけではありません。
山小屋に泊まって星空やご来光を楽しんだり、絶景の温泉宿に泊まったり、風情ある山小屋で山の幸を味わったり…。
ゆる登山に“お泊まり"をプラスすることで、よりワクワク感が詰まった1冊になっています。

日帰りで登れる山でも、あえて山の中で泊まってみる楽しみ方も提案し、日本百名山に含まれるような魅力的な山も8つほど紹介しています。
3000m級の山でもバスやロープウェイで山頂近くまでアクセスできる乗鞍岳や木曽駒ヶ岳といった日本アルプスもあるなど、案内する全21コースはバラエティに富んだラインナップです。
【高山植物ポケット図鑑】
増村征夫著/新潮文庫

文一総合出版の「高山植物」、山渓の「高山植物ポケット図鑑」、そして新潮文庫の「高山植物ポケット図鑑」、これは私の中でのポケット図鑑ベスト3ですね。
店舗でも結構前から取り扱っています。
スマートフォンでもこういった情報が得られる時代ですが、やっぱり山に持っていける本がいいじゃないですか?みんな文庫本サイズなんですよ。
本のいいところは、いっぺんに見れること。比べるためにすぐにページがめくれるのって、やはり気持ち良いですよ。
山でどんどんスマートフォンで調べものをしていたら、どんどん電池が減ってしまいますから。いざというときのためにバッテリーは大事です。
【日本百名山】
深田久弥著/新潮文庫

「座右の書」といえばやはりこれは外せませんね。深田氏が山を評すると、山々の品格と個性が明確になり、まるで山が人格さえも持ったように見えてきます。
山と人の暮らしの繋がりを感じ、人にとっての精神的な支柱となってきた歴史も少し知ることができました。それにしても作者の並々ならぬ山への愛情はスゴい。山は人を魅了する力をもっているのでしょうね。ひとつのものに魅了された人が描くエッセイは、読むひとの胸を熱くしてくれます。
「日本百名山」は真の名著ですが、40歳を過ぎてから「山の自然学」(小泉武栄著・岩波新書)も気になるようになってきてよく読んでいます。

 

「山の本のことなら間瀬さん!」と弊社社長をはじめ、石井スポーツスタッフの皆がそう言っています。

間瀬さんは最後にこんな話をしてくれました。

「黄色いテント」は、いいですよ。文庫本もよいですが、箱入りでちょっと大判の単行本はもっと良いです。
文庫本だとどうしても雰囲気がなくなっちゃうからね。3冊持っているけど、この本はもともと全部古本屋で買っているから「本の状態」が違うとつい買ってしまう!

筋金入りの山岳書籍愛好家、間瀬さんのいる登山本店に皆さんも足を運んでみませんか?

 

山に関する書籍・雑誌は本当にバリエーションが豊富です。向学のためのもの、趣味を楽しむためのもの、山道具の説明や地図・ガイドブック、小説などもありますね。石井スポーツには「山の本が好きなスタッフ」もたくさんいます。今回ご紹介した登山本店の間瀬さんは、山岳雑誌でコラムを書くことも度々あり、業界では一目置かれる存在です。これからも定期的に、間瀬さんの本への熱い想いを届けさせていただきますので、ご期待ください。