12月 登山の日「風凍る 冬の山」
ウール・ダウン天然素材で体を守ろう
11月は全国的に気温の高い日が多く、東日本と西日本では月の平均気温が平年を2度前後上回ったほか、沖縄・奄美では統計を取り始めてから最も高くなったそうです。しかし後半から気温が下がり、慌ててコートを出された方も多いのではないでしょうか。長期予報では暖冬と言われていますが、気象庁における暖冬の基準は地域平均気温の平年差(1981 – 2010年の平年値による)に北~西日本0.5℃以上南西諸島 0.3℃以上です。暖冬だからと言って春の陽気がずっと続いているわけではありません。こんな年ほど南岸低気圧が通過して、太平洋側が大雪。通過後に大陸の寒気を引き込んで山は大荒れということも。都会でも寒さに震える日がかえって多くなります。暖冬傾向だからといって油断大敵ですね。
<冬山のリスク>
冬山の主なリスクとして低体温症・凍傷があげられますが、低体温症の発症の主な要因は低温と風・濡れです。凍傷の発症は気温マイナス4℃以下で風・濡れが主な要因です。注目していただきたいのが共に濡れがその要因となっています。暖冬傾向の年に気を付けたいのが、南岸低気圧の通過に伴う湿雪や標高の高い山の降雨です。雪で濡れる・思わぬ降雨で濡れるなど通常では考えられない事態にさらされる事になります。加えて寒気の流入が加わり思わぬ窮地に立たされることになります。こんな時に活躍するのが天然素材であるダウンやウールの活用です。濡れても暖かい天然素材を上手に使って安全登山をしたいものですね。
<濡れに強く風を防ぐレイヤリング術>
レイヤリングに王道はありません。状況(気温や風など)に応じてウエアを組み合わせる。「寒かったら着る、暑くなったら脱ぐ」をこまめにするのが大原則です。そこで石井スポーツスタッフの状況に応じた工夫と知恵をお伝えします。
①ベース(インナー)レイヤー
湿気を吸収、吸着熱を発して、保温性に優れるメリノウールを着用。加えてメリノウールの特性を最大限に生かせるように化繊の吸汗速乾アンダーを着用するとさらに濡れに強く快適です。
②ミドルレイヤー
フリースは行動時に適した保温性能・透湿性能を発揮して汎用性が高いのでおすすめですが、嵩張ります。そこで、はっ水性・防風性のある薄手のミッドシェルを活用して、森林限界まではミッドシェル・ベースレイヤーを組み合わせて行動中の発汗と降雪に備えます。森林限界以上は撥水ダウンを使ったインナーダウンを着用すると、濡れに強く携帯時にかさばらず便利です。
③アウターレイヤー
思わぬ降雨による濡れや過冷却水による凍結等、より厳しい条件にさらされることを考えて防水透湿素材のジャケットであることは当然ですが、換気のためのベンチレーターや顔の凍傷を防ぐフードを備えて、視界の確保しやすいジャケット・状況に応じて脱ぎ着のしやすいサイドジッパーを備えたオーバーパンツがお勧めです。
④防寒着
休憩時やテント泊・クライミングのビレイ時などコンパクトで暖かいダウンジャケットは必携ですが、濡れに強い撥水加工ダウン・高品質ダウンを選ぶことが肝心です。
⑤手袋
手袋も凍傷を防ぐためにインナーグローブ+ウールグローブ+オーバーグローブとレイアリングすると効果的です。特にインナー・ウールグローブは必ず予備を用意して濡れに備えます。
⑥靴・靴下・スパッツ
濡れたり、寒くなった時に容易にケアが出来ないのが足回りです。靴はワンランク上の保温性を備えたものを選び、靴下は良質のメリノウールは当然ですが、インソールを断熱性の高いものに取り換えるのも効果的です。加えて雪の侵入を防ぎ・保温性を高めるゲイター(スパッツ)は冬用のバンドに強度のあるものを選びましょう。フロント開閉タイプは着脱がしやすくてお勧めです。
冬は自然の厳しさと美しさを兼ね備えたすばらしい時期ですが、日の出・日の入りを表示する時計を使用して1日の行動予定を決めたり、気温の変化に対応しやすいウエアリングを考えたり、温かい飲み物の準備等、綿密な登山の準備が必要です。
「用意周到な準備で安全登山」皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。
【おすすめ メリノウールのインナー】
icebreaker ZONE LS HALF ZIP(Men’s)/OASIS LS CREW(Women’s)
高品質のメリノウール100%で仕上げた中厚手のベースレイヤー。
Men’s ¥13,000
Women’s ¥9,800
【おすすめ 薄手のミッドシェル】
テルヌア HOLYWOOD JKT
軽量で柔らかい嵩張らない薄手ソフトシェル。ストレッチ性もありウィンドブレーカーとして最適。
¥19,800
【おすすめ 撥水ダウンを使ったインナーダウン】
Marmot TRANS QUIX DOWN JACKET
ナノレベルでダウンの繊毛に耐久撥水加工を施したダウン。ダウンの弱点である雨や雪などの水分に濡れても、高レベルで嵩高性、軽量性、保温性をキープ。
¥29,000
【おすすめ インナーグローブ】
KOHLA Thremal Glove
水分を吸収しないポリコロン繊維を採用。汗の湿気を外側へ追い出す作用で乾燥が早く、頑丈で熱や摩擦に強い。
¥1,200
【おすすめ ウールグローブ】
LACKNER WOLLE ヒマラヤングラブ
オーストリア チロル地域で飼育される羊毛で編んだウールグローブ。油脂分を含んでいるため、雪で濡れても温かい保湿性能を持っています。
¥3,700
【おすすめ 断熱性の高いインソール】
SIDAS ウィンター3D
特に冷えやすい前足部にアルミフィルムを装着した保温性の高いモデル。しっかりしなやかにカカトとアーチを支えるナイロンアーチフレックスサポート。
¥5,000
【おすすめ ゲイター(スパッツ)】
PAINE ゴアテックス エクスペディションスパッツⅡ
フロントジッパーで着脱しやすいロングスパッツ。上部は厚手の420dnナイロン生地、下部には840dn生地を使用して高い耐摩耗性を実現。
¥7,800