石井スポーツ ザック工房


 
石井スポーツオリジナルブランド「PAINE」を生み出したのは、「登山者目線でものづくりがしたい」という石井スポーツスタッフの熱意でした。既製品に頼らず独自商品を生み出し、最初期はその生産まで手掛けていました。
 
その熱意と技術は今も変わらず、登山本店の片隅には、ザックやテントの修理を独自に請け負う「ザック工房」が存在します。
 
今回はそんな「ザック工房」をご紹介します。

 
 
 


 
石井スポーツ 登山本店にある「ザック工房」では、オリジナルブランド「PAINE」のザックやテント、場合に応じてその他の商品修理も請け負っています。
 
修理対象品
・「PAINE」製品(ザック、テント等の主に布製品)
※それ以外の商品は、個別にご相談くださいませ。
 
修理例
・ザック ベルト類のほつれ修理
・生地の破れ補修
・ファスナー・バックル等の補修および交換 など
 
受付方法
・石井スポーツ登山本店 店頭にて、直接修理希望品をお持ち込みください。
(お見積り無料)
・遠方にお住まいのお客様は、最寄りの石井スポーツ店頭へ修理希望品をお持ち込みの上、お近くのスタッフへご相談ください。
 
注意事項
・製品の修理は、基本的には「メーカー承り」となります。店頭にお持ち込み頂いた場合も、まずはメーカーでの修理可否を判断致します。メーカーでの修理を行わず、直接「ザック工房」での修理をご希望されても承ることができない場合がございます。
 
・「ザック工房」では職人が1人で修理を行っているため、製品の状態、修理の受付状況等によっては修理をお断りする場合がございます。また、受付からお渡しまで数日~数か月お時間を頂いております。
・あくまで修理のため、製品購入時の状態まで戻すことを保証は出来かねます。予めご了承下さいませ。

ザック工房 職人インタビュー

 

登山本店のバックヤードに入ると、在庫に囲まれた棚の奥からミシンの音が聞こえてきます。
普通のものとは逆の構造をした足踏み式の古いミシンを踏んでいるのは、石井スポーツに入社して50年弱という古株の「中沢正男」さん。
今回は、石井スポーツで唯一中沢さんだけが請け負っている「ザック工房」のお話を伺っていきます。

 

中沢さんが修理しているのは、石井スポーツオリジナルブランド「PAINE」ショルダーバッグ。タグについているロゴは今のPAINEのロゴになる前の古いもので、バッグ自体もかなり使い込まれています。

 
 
 
― 随分古いバッグですね。今回は何を修理しているんですか?
 
中沢「ジッパーがずれて、スライダーが噛んでしまうようになっているので新しいものに交換してる。ジッパー全体を新しいものに交換してほしい、との要望だけど、それだとお金も時間もかかっちゃうから」
 

― なるほど。普段はどのような製品を修理しているのでしょうか。
 
中沢「ザックはもちろん、テントのジッパーを交換したり、キスリング※の修理なんかもやります」
 
※キスリングとは
「キスリング型リュック」のことで、両サイドに大きなポケットがついており、横長のシルエットが特徴。ショルダーストラップと本体をつないでいるパーツが革製のため、劣化したら交換が必要だった。
 

 
THE EARTH(1976年刊)より引用
 

― キスリングリュックのことは初めて知りました。今も修理依頼が来るんですか?
 
中沢「キスリングの修理はいまもたまに依頼がある。パーツもまだあるよ」
 
中沢「これはレザーの修理なので、靴工場でやっていることと同じ。ミシンは使わず麻の糸に松脂を縫って、その糸で縫い直す」
 


パーツを縫うための麻ひも

今も取ってあるキスリングリュックの修理パーツ

 

麻ひもははさみを使わず、擦り付けて切る

 

― 石井スポーツの中でも、「ザック工房」を掲げているのはこのお店で、中沢さんだけです。いつ頃から、修理の仕事を受けているんでしょうか?
 
中沢「石井スポーツでも、40年くらい前までは入社したら修理を学ばされる時期があったんだよ。その時は皆やっていたんだけどね。
 
35年くらい前、まだ石井スポーツの本店が新大久保にあって、越谷さんが店長をやっていた時、「使ってないから」と当時の製靴工場長からこのミシンを貰って、だれも使い方がわからないから俺が調べて使い始めた。その時からかな」
 

 
― 確かに、普通のミシンとは向きが逆ですね
 
中沢「そうでしょ。製靴工場で使っていたものだから、職人用で、店のスタッフは誰も使い方が分からなかったんだよ。最初は修理の前に、ミシンに慣れるために色々なものを縫ってみていた。ちょっとした袋やパスポートケース、ザックとか。
 
そのうち、カメラバッグとかパスポートケースとかを作るようになって、店頭で売るようになった。カメラバッグなんかは昔のジアース(カタログ)にも載せたと思うよ。」
 

― 修理と並行して、商品も作っていたんですね
 
中沢「最初は「石井スポーツ」ブランドで売っていたんだけど、そのうち「PAINE」というブランドができたので、その名前で売るようになった。そのうち、生産をアライテントさんに任せるようになって、今は修理がメインの業務になったね。」
 
― 商品をイチから作る技術があったからこそ、修理も出来たというわけですね
 
中沢「昔はなんでも作る、なんでも直すをやっていたからね」
 
― いまは、修理の依頼はどのくらい受けているんでしょうか?
 
中沢「週に1件、月2~3件くらい。このミシンは俺しか踏めないから、あまり多くは受けられないんだよ。ズボンの裾上げミシンみたいに誰でも使えるものではないから、後継者がほしいね」
 
― 後継者、たくさん集まるように、精一杯記事作らせていただきます!
 


 

 


 
 
 
いかがでしたでしょうか。今回取材したお店はこちら!
 

 
お近くにお寄りの際は、ぜひお立ち寄りください。
 
 

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